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縁結び

第1章 1章―夏祭り―


「おや?お兄ちゃん、また来てくれたのかい?」


甘い香りのする先には、小さな屋台におばあさんが1人立っていた。
よく見ると横には「りんご飴」と書かれたのぼり旗があった。


「ばあちゃん!やっと見つけたぜ!」


エンマはおばあさんの方へ駆け寄る。


「おや?今年は女の子連れかい?」
「あぁ、どうしてもここのりんご飴が食べたくてな!」
「嬉しいねぇ。今日はどうするんだい?」
「とりあえずすぐ食べる用に2本、あと残り全ては手土産にしたいんだ」
財布を取り出すエンマの目は嬉しさのあまり今までに見たこともない程光を放っていた。


「そうかい。今年もありがとうね。土産用に包むから、お嬢さんと食べて待ってておくれよ」
と言うと、エンマに2本のりんご飴を渡して残りを包み始めた。
エンマから、ほらっと渡されたりんご飴は小ぶりで飴に綺麗に包まれており宝石のようにキラキラしていた。




カッカッ……パリッ!



エンマは歯で飴にヒビを入れ、割れた箇所にかぶりついていた。
「…美味い!やっぱりばあちゃんのりんご飴は最高だぜ!」
「ふぉふぉふぉ、美味しい食べ方をしてくれてありがとうよ」


さやかも見様見真似で食べてみた。
『…美味しい!』
飴の程よい固さ、りんごのシャキシャキ感が合わさって絶妙だった。
「な?最高だろ?」
『うん!』


2人のやり取りを微笑ましく見ながらおばあさんはあっという間に包み終わってしまった。
手土産用のりんご飴を受け取ったエンマは、
「来年もみつけてみせるぜ、ばあちゃん!」
「楽しみにしてるよ、お兄ちゃん」
お礼を言い、2人は屋台をあとにした。




良いお嬢さんを見つけたね、お兄ちゃん。
おばあさんは2人の姿が見えなくなるまで見つめていた。
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