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縁結び

第1章 1章―夏祭り―



一体自分は何にぶつかってしまったのかと目を開けると、




「大丈夫か!?」
そこはエンマの腕の中だった。
倒れそうになったところを支えてくれたようだ。




『エ、エンマ!ごめんなさい。足が…』
「怪我は…なさそうだな。よし!もう少しここから離れるぞ!」




よいしょ!とお姫様抱っこに抱え方を変えたエンマはそのまま走り出した。




『ちょ//エンマ!私、重いからおろして!』
「重いわけねーだろ。それよりこの方が効率がいい」
『あ…いや……』


護衛もできてない上に妖魔界の大王様に抱えられるとは……ぬらりひょん様になんと言われるか…。
想像しただけで耐えられそうにない…。



顔面蒼白で口をパクパクさせているさやかを見てエンマは、
「ハハハ!大丈夫だ。ぬらりの事は気にするな。
それより口を閉じておけよ。走るぜ!」



一気に人混みから遠ざかっていった。




ーーーーー




どのくらい走っただろう。
辺りは灯りが少なく、さっきまでと一変して暗闇が広がる。
祭り会場の提灯の灯りがとても遠くに見えた。
さすがにここまでは追ってこないだろうと確信したエンマはようやくさやかを解放した。


「悪い、さやか。せっかくの祭りを台無しにしちまった…」
申し訳なさそうに見つめてくるエンマ。
『ふふっ、私は大丈夫。今度は変装しておかないとね。人間界でもエンマは目立つから。それに…』
「?」
『エンマとお祭りに行けて私は嬉しかったよ?最後はヒヤヒヤしちゃったけど』
クスクスと笑いはじめたさやかを見てエンマは安堵した。




やっぱりこの笑顔には敵わねーな…




「よし!来年は変装してリベンジだな!」
2人は顔を見合わせて笑った。



すると、何やら甘い香りが漂っていることに気がついた。
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