第1章 1章―夏祭り―
「エンマ大王!ミツケマシタヨー!
メダルプリーーーーーズ!!」
突然叫びながら突進してくる何か…。
…に、人間?
メダルってことはこの人もウォッチの所有者!?
「あー!ジェリーにゃん!!」
「あーた、エンマ大王様のメダルまで無理矢理奪うつもりでウィス!?」
「オトモダチー!」
さっきの嫌な感じはこの人間…?
ジバニャン達は知ってるみたいだけど…今はぬらりひょん様がいない。
色んな意味で危ない感じがするから、私がエンマの護衛しなきゃ!
エンマを背にして、ジェリーの前に立ちはばかろうとした時
「さやか!走れ!」
グイッとエンマによって後方へと引っ張られた。
『エンマ!?どうして?』
「そいつは妖怪たちから無理矢理メダルを奪うのが得意なジェリーだ!俺達も奪われたらどうなるか…とりあえず逃げるぞ!」
いつも冷静なエンマのこの焦り様……言われるがまま走って逃げることにした。
「ケータ!今日はサンキュー!またな!!」
「うん!こちらこそ今日はありがとう!
エンマ大王……とにかく頑張って!!」
それは逃げる事を頑張ればいいのか、それとも…
いや、今は余計な事は考えず逃げるしかない。
後にさやかが付いてきていることを確認しながら人混みをかき分けて行った。
その後ろ姿を見守りながら、
来年こそはフミちゃんを祭りへ誘ってみせる!
と心に決めたケータであった。
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少し走ったところで履き慣れていない下駄に苦戦するさやか。
更に人混みも増えていた。
走りにくい……
本来なら妖力を使って容易く押し退けて進めるはずが、人間達を驚かせてしまうので使えない…どうすれば……。
と考えていると
ガッ
つま先が石畳に引っかかってしまった。
『あ!』
思わず目をつぶったその時、
ドン!
何かにぶつかってしまい身体が反転した。
ーーーあれ?痛くない…?