第1章 1章―夏祭り―
「気にするなって言っただろ?それにさやかがいつもカイラと稽古頑張ってるの知ってるぜ。
妖魔界では剣術も凄いと噂になってるの知らないだろ?」
『そ、そうなの?//』
稽古はあまり人目につかない場所を選んでたんだけど、見られていたとは…恥ずかしい。
そして、自分の噂が良い内容であったことに胸をなでおろした。
「だから今日はご褒美だと思って俺に甘えてくれ。な?」
優しい表情で見つめてくるエンマにさやかの頬は一気に赤くなった。
薄暗い時間帯で良かった…と思っていると。
おほん!
「あの〜…エンマ大王、さやかちゃん、そろそろ列から離れない…?」
イイ雰囲気を邪魔して申し訳ないんだけど…とケータの目線を追うと後には焼きそばを求め並んでいる行列がまだ続いていた。
『そ、そうだね…//』
オロチに御礼を言い、ケータ達は足早に列から離れた。
続いてわたあめ、たこ焼き、ヨーヨー諸々を回ったが、
エンマ好みのりんご飴売っている屋台は見つからなかった。
人通りが少ない所へ移動してひと休憩…。
「エンマ大王の言うりんご飴売ってるおばあちゃん見つからないニャンね」
「そもそもこの祭りに出店してるかも不明でウィス〜」
探し疲れたのか焼きそばを食べながら諦めモードに入っている2体。
「そうだな…結構年いったばあちゃんだったからな」
もう店自体出してないのかもな…さすがのエンマも諦めかけたその時、背後から何かが迫ってくるのがわかった。
危ない!
咄嗟にエンマを自分へと引き寄せたさやか。