第1章 1章―夏祭り―
…えん…………!
エンマ大王さま!
ハッ
聞きなれた声に名前を呼ばれ、我に返るエンマ。
ここは…
そうだ書類に目を通していた途中だった。ふと視線を上げると、ぬらりひょんが心配そうに覗き込んでいた。
「大王さま…今日はもうお休みになられて下さい。こちらの書類は明日以降でも間に合いますゆえ…」
と山積みになった書類に目をやる。
つられて目をやれば……見るべきではなかったかもしれない。同じような書類の山がまだ3つ…いや4つか。ん?ぬらりが持っている書類の山が小さく見える…恐ろしい錯覚に陥っているな俺は。数秒前まで意識を飛ばしていた自分にとても納得がいく。
「ぬらり、わりぃ。今日はここまでにさせてくれ。ちょっと宮殿の中、散歩してから休むな」
「御意!」
エンマは椅子から立ち上がると、1度大きく背伸びをし部屋をあとにした。