第1章 1章―夏祭り―
「人間達が多いので少し待つことになりますが、宜しいですか?」
「待つのも楽しみの1つだ。気にするな」
「わかりました。おや、今日はぬらりひょん様はいらっしゃらないのですか?」
「あぁ、見張りはしてるだろうがな」
「そうでしたか」
ちらりとさやかの方を見たキュウビ。
こちらの女性は…なるほど。
エンマ大王様も大胆なところがおありで。
何かを察したキュウビは、
「お嬢さんも楽しんでくださいね」
ニッコリと話しかけた。
さやかはコクンと頷くと、キュウビは会釈をしてまた呼び込みしていた場所へと戻っていった。
その後、列に並びながら妖魔界、人間界お互いの世界の話をしていれば行列はいつの間にか進んでおり、ケータ達が先頭に辿り着いた。
「オロチ!凄い行列だね!」
「む、並んでくれていたのかケータ……
エンマ大王様も!?」
「よぉ!」
少し慌てるオロチ。
「出来立ての焼きそばくださいニャン!」
「そうだ!他も周りたいから僕とジバニャン、ウィスパーで分けない?」
「賛成ニャン!俺っちも色々食べ歩きしたいニャン!」
「じゃあオロチ、僕とジバニャン達は焼きそば1つ!大盛りで!」
さやかはケータ達の仲の良さに自然と笑みがこぼれた。
「じゃあさやかは俺と分けようぜ」
エンマから提案された。
『うん//』
「オロチ、こっちも焼きそば1つ宜しくな」
「御意!」
オロチの華麗な手さばきに目が釘付けになってしまい思わず
『凄い…!』
声に出てしまっていた。
さやかに気づいたオロチ。
この妖怪は…確か…。
どうやらオロチの耳にも噂は届いていたようだ。