第1章 1章―夏祭り―
「そこのお嬢さんたち!美味しい焼きそばはいかがかな?」
「「「きゃー!買います!」」」
長い髪を後ろで1つに結った眼鏡の男性が道行く女性達に声をかけると黄色い声が響いていた。
「アイツは…キュウビじゃねーか」
「人間に化けているけど、あの手の目立ちたがり屋妖怪はすぐわかるニャンね」
『キュウビ?』
どうやらここにも人間に化けた妖怪がいたようだ。
「てことは、この焼きそばを作っているのも…」
ひょっこりと顔をのぞかせ行列の先を確認するケータ。
そこには…
「あれはオロチニャン!」
「やっぱり妖怪じゃん!」
綺麗な手さばきでヘラを扱い焼きそばを焼いているオロチがいた。勿論、人間の姿に化けていた。
「オロチは妖魔界でも料理上手で有名だからな。楽しみだぜ」
『あ、確か妖チューブ開設してたような』
妖魔界、人間界も流行りが似ていたようだ。そんな話をしていると眼鏡の男性がこちらに気がついて近寄ってきた。
「やぁ、ケータ……
エンマ大王様?!!」
かなり動揺している。無理もない。
「よぉ、キュウビ。かなり盛り上がってるじゃねぇか」
「は、はい…。オロチの焼きそばは美味しいですから。そこにこの僕が呼びかければ女性達は…フッ」
自慢気にするキュウビ。