第1章 1章―夏祭り―
(ケータの心の声)
泣く子も黙る程恐ろしいあの閻魔大王の好物が…
まさかのりんご飴!?
「りんご飴ならその辺りにいくらでもあるニャン」
「小さなばあちゃんが作るりんご飴が最高に美味かったんだ」
「そのようなご老人がいる店はなさそうでウィスよ〜」
皆の頭上から辺りを見渡すウィスパー。
「じゃあエンマ大王好みのりんご飴を探しながら祭りを周るってのはどう?」
「ケータ、サンキュー」
そんなやり取りを微笑ましく見ていたさやか。
すると突然ーーー。
ーーーッ!
何だろうこの嫌な感じ…。
誰かがエンマを狙っているような…?
横目で辺りを見ているとポンッと肩を叩かれた。
「さやか、どうした?」
振り向くとエンマが心配そうに見つめていた。
『ううん、大丈夫』
「ねぇねぇ!さやかちゃんもお腹空いてない?あそこの屋台人気みたいだから行ってみようよ!」
ケータの指差す先には屋台に並んでいる人間たちの長い行列があった。
「凄い行列でウィス〜。これはとても期待しちゃいますねケータきゅん!」
「お!いいじゃねぇか。行ってみようぜさやか」
『うん…』
気のせいだったのだろうか…。
エンマとさやかも行列へと向かった。