第1章 1章―夏祭り―
コロッケを食べ終えると、
「そろそろ学校まで行ってみるか。食べ終わってすぐだが歩けるか?」
『うん、平気』
商店街を過ぎ、少し歩いたところで学校のチャイムが聞こえた。
あ、この音は変わってない。
「あそこが校門だ」
大きくきれいな建物が見えてきた。
『これが学校?とても大きくて綺麗。私がいた頃は木造だったんだけど…』
「へぇ、案外俺と生きていた年代が近いかもな。俺は給食に出てくる牛乳(脱脂粉乳)が苦手だったのを思い出しちまう」
『ふふっ、確かにアレは一癖あったかも』
意外な共通点が見つかり、思わずお互い顔を合わせて笑った2人。
「さやかの笑顔、俺すげぇ好き。やっぱり今日誘ってよかったぜ」
エンマの言葉に頬を染めるさやか。
『わ、私も……「ニャー!」
さやかの声はある妖怪の叫び声によってかき消された。
声の主の方を見ると、
「どどどどどうしてエンマ大王がここにいるニャン!?」
1匹の猫妖怪が冷や汗を垂らしながらエンマを指さしていた。
猫が…腹巻き?
あのしっぽ…もしかしてこの猫も妖怪?
「もももももしやその格好!エンマ大王様も祭りへ行く気でウィス!?」
更に頭上にも1体、白くてふわふわ浮いている妖怪がいた。
「よ!ジバニャンとしったかぶり(ウィスパー)」
「なんだか正式名で呼ばれると照れるでウィス」
「ケータならもう少しで来るニャンよ」
ケータ…ということはこの妖怪たちはケータさんを知っているようだ。
噂をすれば…