第1章 1章―夏祭り―
さらっと言っていたがエンマは本気なのだろうか…
私が側近になれるなんて日はこない確率の方が高い…
いや、ぬらりひょん様がいるのでほぼ無理だ。
すると、
「熱いから気をつけて食べなよ!」
と出来立てのコロッケを渡された。
「さんきゅ」
『ありがとうございます』
近くにあったベンチに腰を掛け、
「『いただきます』」
パク
揚げたてのコロッケはサクサクで、中はホクホクだった。
美味しい…!
「美味いだろ!これなら浴衣も汚れる心配も少ないからさやかも食べやすいと思ってな」
そこまで考えてくれてたなんて…。
もしかして、浴衣のお店も人間が少ない所をわざわざ選んでくれたのかもしれない…。
『ありがとうエンマ。でも一体どれだけ人間界へ来てるの?行く先々のみんなと親し過ぎてビックリしちゃう』
「に、人間界と妖魔界をとりもつ為に視察は欠かせないからな!」
図星を点かれて言葉を濁すエンマが可愛いくてつい笑ってしまった。