第1章 1章―夏祭り―
よく見るとエンマも甚平姿になっていた。
『エンマはもう着替えたのね』
いつもと違う服装…妖魔界での姿とは全く別人だった。
そんなエンマの姿に釘付けになるのはさやかだけではなかった。
「どこの事務所に所属しているのだろう」
「一緒にいる女の子もモデルさんかしら」
変わらずお店の外から聞こえる囁き。
私のことまで言われ始めるとは…。
すると店員が、
「裏口へご案内しますね」とコッソリ2人をお店の裏口から出してくれた。
店員へ御礼を言い、お店をあとにした。
ーーーー
『ね、エンマ』
「ん?」
『人間界でもやっぱりエンマは目立つね』
横並びになって歩く2人。
「そうか?俺よりぬらりの方がもっと目立つぜ」
『確かに身長もあるし、あの綺麗なお顔立ちは注目の的だろうね』
ふふふっと笑うさやかを横目で見るエンマ。
さやかよりほんのちょっと高いだけの己の身長を疎ましく思った。
ぬらりみたいに身長が伸びるだろうか…。
少し歩くとある場所にたどり着いた。