第1章 1章―夏祭り―
白地に淡い紫や桃色の花が描かれた浴衣だった。
『…綺麗//』
「だろ!帯はこっちが…」
全てエンマが選んでくれた。
「じゃ、あとは宜しくな」
と店員へ声をかけるエンマ。
すると店員の女性が「では、こちらへ」とお店の奥へと誘導してくれた。
3〜40分程だろうか
ーーーーシャーッ
カーテンを開け、また誘導され元来た道を辿る。
「とてもよくお似合いですよ。彼氏さんの反応が楽しみですね」と店員は少し興奮気味だった。
彼氏ではないが…そう見えていることが嬉しかった。
『ありがとうございます』自然と口元が緩んでいた。
その頃エンマは他の店員さんより出された冷たいお茶を飲んでさやかの戻りを待っていた。
「お待たせいたしました!お支度ができましたよ」
その声の方を向くと浴衣姿のさやかが少し恥ずかしそうに立っていた。
髪にはちりめん細工の可愛い飾りもつけられていた。
エンマはさやかの浴衣姿に見惚れてしまいお茶の入ったコップを落としかけた。
『エンマ、どうかな…?//』
「あぁ…すげぇ似合ってるぜ//」
その浴衣を選んだ己のセンスを褒め称えたいくらいだ。
ニッと歯をみせてグーサインをするエンマを見て、さやかは安堵した。