第1章 1章―夏祭り―
ーーー翌日。
「ふぁ〜。ぬらり、おはよう。今日もよろしく頼むぜ」
書斎の扉をくぐり入ってきたエンマ。
おぉ!大王様がこんなにも本腰を入れてくださるとは!
しかし今日は…
「大王様、水をさすようで申し訳ないのですが…」
「なんだ?」
「今日はお休みになられてください」
「へ?」
不意打ち過ぎる言葉につい変な声が出てしまった。
「い、いいのか?」
「えぇ」
「本当か?ぬらり、具合でも悪いのか…?」
いつもならこんな流れにならないのだが。何か企んでいるのだろうか…と疑いの目でぬらりを見ると
「む!心配御無用。私はこの通り元気でございます。
ただ、大王様が最近とても仕事熱心でしたのでご提案申し上げました。それに今日は人間界で夏祭りが行われるようですよ。たまには羽をのばしてきてください」
どうやら本気で休みを提案してくれているようだ。
「そうか。じゃあ遠慮なく!」
気が変わらない内に…!
エンマが足早に部屋を去ろうとした時。
「私も同行いたします」
なにぃぃぃい?!
いや、いつものことだが…
一気に項垂れるエンマをみたぬらりひょんは口角を上げて続けた。
「と、言いたいところですが、先ほど申し上げたとおり羽をのばしていただきたいので私は見張りとさせていただきます。
どなたか祭りに行くに相応しいお相手を誘うと良いでしょう」
「相応しい相手?」
「はぁ…男2人で祭へいくと寂しい奴というレッテルを貼られるだけですからね。そうですね…うーむ」