第3章 家族の絆ー後編ー
「何だぁ?告白かぁ??」
病室のドアがガラッと開いたかと思えば、宇髄は桜と杏寿郎を交互に見てニヤリと笑みを浮かべ、楽しそうに言った。
その後ろには不死川と胡蝶姉妹もいる。
「うふふ、相変わらず仲が良いのねお二人さん」
「…でも言う相手が間違ってませんか?」
ニコニコと笑顔を浮かべながら話すのはカナエとしのぶだ。
しのぶの言葉にカナエは「それは桜と不死川くんの問題だからね」と小声で言った。
「宇髄、羨ましいだろう!!」
「何でだよ!俺よりもコイツだろ!!」
そう言って不死川の肩を掴み、桜と煉獄の前に引っ張り出した。
「おい、やめろォ」
服が伸びるだろうが、と宇髄の手を払いのけ、パンパンとシャツの皺を伸ばした。
「実弥、くん」
「…あ?……っ、お前…いや、何でもねェ。目、覚めて良かったなァ」
ポンポンっと頭を撫でて優しい表情で言葉をくれる実弥くん。
ああ…、この感覚懐かしいなぁ…なんて感傷に浸っていると、宇髄がニヤニヤしながら「お熱いねぇ」と茶化すものだから、実弥くんに殴られてた。…自業自得だ。
「目ェ覚めてるんなら俺はもう行く。また学校でなァ、桜」
「え?あ、うん。ごめんね、ありがとう」
桜の言葉に手をヒラヒラと振って不死川は病室を後にした。
「何だぁ?アイツ。今にも鼻歌が聞こえてきそうなくらい上機嫌で帰ってったぞ」
「それは桜が関係しているのでは?」
宇髄の疑問にしのぶが答える。
「オイオイ胡蝶。今は桜“先生”だろ?アイツに怪しまれるぞ」
肩を抱き、耳元で小声で話すと、しのぶは不愉快とでも言うように宇髄の手を払いのけて「問題ないです」とキッパリ言い切った。
「…やっと思い出してくれたんですね、桜」
「え?そうなの??」
しのぶの言葉に、カナエは驚いてしのぶと桜を交互に見る。
「流石だね、しのぶ」
「当たり前ですよ。私は姉さんよりも長くあなたと親友してたんですから。不死川さんのこと、“実弥くん”って呼んだから気付きました」
しのぶは桜の側に寄り、ギュッと手を握る。
「勝手にいなくなって、再会したと思ったら覚えていなくて…、そしてまた私たちの前から消えるのかと思いましたよ」