第3章 家族の絆ー後編ー
無限列車の任務から早いもので四ヶ月が経った。
その間、煉獄さんに「はぁあ?死ぬ死ぬ死ぬ!!」って言うような身の毛もよだつような訓練をつけられた。
煉獄さんは俺たちよりも酷い怪我を負っていたはずなのに、凄まじい回復力を発揮して短期間で怪我を治していた。
何なの?化け物なの??怖っ!柱、怖っ!!
あの無限列車の日、俺は桜さんと別れた事を後悔した。
いや、桜さんの後を追ったところで、俺は怯えて何も出来なかっただろうから結果は同じだっただろう。でも、あの時ああしていたら…って何度も思うんだ。本当に後悔しかない。
何だかんだで桜さんは面倒見が良かった。見捨てられてもおかしくないのに、こんな俺を見捨てることはなかった。
炭治郎に聞いたんだ。俺たちのこと、“強い”って言ってくれたって。“一緒に過ごした時間は楽しかった、ありがとう”と言っていたって。
お礼を言いたいのは俺たちの方だ。
面倒を見てくれて、困ったときは助けてくれてありがとう。
桜さんには色々なことを学んだ。そして桜さんの後を継ぐように煉獄さんからもたくさんのことを学んだ。
その経験を、今こそ活かすべきなんだ。
「あんたの速さはもう見慣れてるのよ!」
遊郭に潜入して、上弦ノ陸との戦いでもうみんなボロボロだ。炭治郎が作ってくれたこの機会を決して逃すわけにはいかない。
桜さんの速さに追いつきたくて、必死で訓練した。残り一回しか使えないこの技は、絶対に失敗は許されない。
「雷の呼吸 壱ノ型 霹靂一閃 神速!」
中々頸が斬れなくて力尽きそうになったけれど、後から攻撃に加わった伊之助と共に、堕鬼の頸を斬ることができた。
そして炭治郎の方も同時に頸を斬っていて、ああ…俺たちはやったんだ、上弦ノ鬼に勝てたんだ、と安堵した。
毒にやられていた人たちは禰󠄀豆子ちゃんの力で回復して、誰も死ぬことはなかった。
「俺、頑張ったよ…桜さん」
“頑張ったね、善逸”
どこからか桜さんの声が聞こえたような気がした。
桜さんはよく俺を褒めてくれて、それがとても嬉しかった。
「またいつか出会うことができたなら、いつものように褒めてください」
俺からあなたへ、最後のお願いです。