• テキストサイズ

鬼滅の刃〜炎の絆〜

第3章 家族の絆ー後編ー


いつものように玄関の掃き掃除をしていたら、姉上の鎹鴉がふわりと目の前に降り立った。

「…燈?」

姉上は今、兄上と同じ任務についているはずだ。もう終わったからその報告だろうか?と首を傾げて考えていると、悲しそうな声で姉上の訃報を伝えられた。

「…え?」

言葉の意味を理解するのに少し時間がかかり、そしてゆっくりとその場に座り込む。

「姉、上…?」

嘘だ嘘だ…、姉上がいなくなったなんて俺は信じない。信じたくない。

姉の鎹鴉は多少ふざけたところがあるが、それでも笑えない冗談を言う鴉ではない。

だからこれは、夢でもなんでもなくて……現実なんだ。

そう理解すると一気に涙が溢れた。

「……っ、姉上、……姉上っ!!」

両手で顔を覆い、涙を流す千寿郎。

何となく嫌な予感がした。だからあの時、姉に“任務が終わったら頭を撫でて『ただいま』と言ってほしい”とお願いしたのだ。

「約束、したのに…。約束したじゃないですかっ、姉上ぇ……」


“ごめんね”


ふわりと吹いた風と共に姉の声が聞こえた気がした。





*****






葬儀も終わって幾日か経ったある日、竈門炭治郎と言う鬼殺隊の人が兄と共に煉獄家を訪れた。

父に聞きたいことがあるとの事だったが、父は炭治郎さんを見るなりいきなり殴りかかった。

「やめてください」と止めに入った俺は父上に殴られてしまい、そして終いには兄上や姉上のことを「大馬鹿者だ」と批難し始めた。

それを聞いた炭治郎さんは「なぜ自分の子供たちを侮辱するんだ!」と、姉上が亡くなったことに関しても「何とも思わないのか」と怒ってくれた。

俺が…、俺と兄上が言えなかったことを言ってくれた。それが嬉しくて、姉を失った悲しみは消えないけれど、それでも心の奥のモヤモヤとした気持ちは炭治郎さんのおかげでスッキリした。

体を捻ってかましたねじり頭突きは……もうしない方がいいと思ったけれど。



父は目が覚めたらまたお酒を買いに出掛けてしまい、“日の呼吸”について聞くことはできなかった。

けれど父がよく読んでいた書物には心当たりがあったので、持ってきて炭治郎さんに手渡した。少しでもお役に立てますように、と願いを込めて。

「こ、これは……!」
「うむ、ボロボロだな!!」


/ 104ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp