第3章 家族の絆ー後編ー
「煉獄桜死亡!上弦ノ参ト激闘ノ末、死亡!」
訃報の報告を受けたのはカナヲと一緒にいる時だった。
一瞬何を言っているのか分からなくて、「はい?」と聞き返してしまったが、返ってきた言葉はやはり桜の訃報だった。
「嘘、ですよね…?そんな…だって……」
彼女は合同任務で…そこには炎柱の煉獄さんもいたはずだ。
そんなしのぶの心を読んだかのように、鎹鴉は「炎柱モ重傷!」と教えてくれた。
「師範……」
俯いているしのぶにカナヲが声をかける。
感情が読み取れないカナヲだが、今は瞳が揺れ動いており、明らかに動揺していた。
「…鬼殺隊にいる以上、いつ何が起こるかなど分かりません。理解しているつもりでしたが…流石にキツイですね」
大切な姉を失い、今度は唯一無二の親友を失ってしまった。
「やはり私は…鬼が憎くて嫌いです。仲良くするなど出来そうにもありません、姉さん」
“任務が終わったら久しぶりに甘味処に行きましょう。…約束ですよ”
“うん、約束!”
「……約束、したじゃないですか。
ちゃんと守って下さいよ、桜………」
俯いて涙を流すしのぶと、心配そうに見つめるカナヲ。
二人の間に暖かな風がふわりと舞った。
“約束、守れなくてごめんね。
……しのぶはしのぶの進むべき道を進んで”
「…桜?」
驚いた表情で辺りを見回すが、カナヲ以外誰もいない。
“カナヲ、しのぶと炭治郎くんをよろしくね”
「………!」
桜、さん?とカナヲも驚いた表情で辺りを見回す。
そして二人は目が合い、悲しそうに笑った。
「そろそろ行きましょう、カナヲ」
「はい、師範」
しのぶの思いは知ってるから、止めたりしない
約束守れなくてごめんね
一緒にカナエの仇を討てなくてごめんね
私の思いは伊之助に託したから……
だから、一人で頑張りすぎないで
私の大切な親友
私はあなたの幸せを願ってる
いつか平和な世界で出会えるその日まで
“さようなら”