第2章 家族の絆ー中編ー
遭遇した鬼を倒しつつ善逸を探していると、隠に手当を受けている隊士たちのところにいた。包帯でグルグル巻きにされて。
伊之助とはまた違ったグルグル巻きだ、と少しズレた事を考えながらストン、と善逸の前に降り立った。
「あ、桜さん」
善逸の声に、手当てに集中していた隠たちが桜の存在に気づいた。
「光柱様…!」
「何でここに…!?」
柱は水柱さまと蟲柱様だけじゃなかったのか?!と慌て始めるのを、ニコリと笑って制する。
「お疲れ様です、皆さんは治療の方に専念して下さいね」
「は、はい!」
桜の言葉に隠たちは怪我人の治療を再開した。
「頑張ったね、善逸」
面白い格好になってるけど、と笑いながら頭を撫でてあげた。
「…桜さん、俺頑張ったよぉぉォ!」
「うん、えらいえらい」
「桜さぁん!頑張ったからご褒美に俺と結婚してぇぇぇ!!」
「……寝言は寝てから言おうね」
撫でていた手を止めて、そのまま頭をガシッと掴んであげた。痛かったのか善逸は「スミマセンデシタ」と半泣きで謝っている。
そんな時、隠の「胡蝶様の解毒剤はスゲェな」って言う言葉が聞こえてきた。
「…しのぶもこの山に来てるの?」
「あ、はい。水柱様と蟲柱様が一緒に派遣されてます」
「冨岡さんとはさっき会ったから知ってる。そっかー、しのぶも来てるのか」
くるっと善逸の方を向き、「じゃあ私は行くね」と言い残し、スッとその場から消えた。
「消えた!また消えたァア!!置いていかないでェェ!!」
桜がいた方向に向かって手を伸ばし泣き叫んでいると、隠に「うるせぇよ!」と一発殴られた。
「光柱様は柱の中で一番足が速いお方なんだよ」
隠の後藤って人がそう言ったのを最後に、善逸の視界は暗転した。
桜は「久しぶりに会えるー」とウキウキした気分でしのぶを探していた。
「何とかおっしゃったらどうですか」
あ、しのぶの声がする、と桜のしのぶセンサーが反応したので声のした方へ行くと………
「冨岡さんのこれは立派な隊律違反です。説明ぐらいして下さい」
「……あれは確か二年前のこと」
笑顔で青筋を立てているしのぶと、そんなしのぶに抱きついている(ように見えた)冨岡がいた。