第2章 家族の絆ー中編ー
「いやん、冨岡さんったら大胆ー!」
甘露寺のように「きゃー、キュンキュンしちゃう!」と楽しそうに二人に近づいた。
正確には抱き付いているのではなく、冨岡がしのぶに羽交い締めしているだけなのだが。
「…桜!あなた今まで何をしていたんですか?連絡ひとつ寄越さないで」
心配したんですよ、と怒りの矛先が桜に向いた。
「あれ?私長期任務って言わなかったっけ?」
「言ってましたが半年もいないなんて聞いてませんよ」
「えー、そんなこと言われても…。それにまだ任務継続中で終わってないんだよねー」
あはは、と笑いながら言ったら毒を打たれそうになった。
怖っ!!
「伝令!伝令!カァァ!!」
「「「!!」」」
「竈門炭治郎及ビ鬼ノ禰󠄀豆子、拘束シ本部へ連レテ行ケ!」
伝令を合図に、しのぶと冨岡は刀を納めて歩き始めた。
「桜、あなたも一緒に行くんですよ?」
「はいはい、逃げたりしませんよー」
と思ったが、今日は半年に一度の柱合会議。柱が揃う日じゃないか…と気づき、逃げたくなった。
しのぶが笑顔でこちらを見るので逃亡はできなかったが。
*****
鬼殺隊本部には拘束された炭治郎が寝転がされていた。
そんな彼を必死に起こす隠とその光景を眺める柱たち。
桜は冨岡と一緒に端っこの方にいた。それはもう空気とお友達になったかのようにひっそりと。
「うむ!今からこの少年の裁判を始めると。なるほど!」
柱を前にしても怯むことなく禰󠄀豆子は何処だと辺りを見回す炭治郎。彼のことだ、柱が何なのか分かっていないのだろう。
「お前なぁ、柱の前だぞ」
「……柱?」
そこでようやく自分の状況が分かったらしい。
しのぶが隊律違反の裁判にかけられている事を炭治郎に話しているが、「裁判の必要などないだろう!」とそれを遮る杏寿郎。宇髄は宇髄で「ド派手な血飛沫を」と物騒な事を口にしている。
ふう、と溜息を漏らした桜に気付いた炭治郎は大きな声で叫んだ。
「桜さん!無事だったんですね!良かった…」
ホッとするのも束の間、ハッともう一度桜を見た。
「もしかして桜さんも拘束されてしまったんですか?!」
炭治郎の言葉に柱たちが知り合いか?と桜を見た。