第2章 家族の絆ー中編ー
炭治郎とも無事合流し、てる子と清を連れて外へ出るよう伝えた。
「桜さんは外へ出ないんですか?」と聞かれたが、まだ鼓屋敷には鬼の気配がするので、殲滅してから外に出ると伝え、別行動をとった。
最初一緒に付いてこようとしていたが、怪我をしているので外に出るよう指示したら従ってくれた。
「炭治郎くん、二人を無事に外へ連れ出すのも任務だからね」
ちゃんと守ってね、と伝えると、「分かりました!」と元気の良い返事が返ってきた。
そんな炭治郎の羽織を後ろにいたてる子がツンツンと引っ張ると、目をキラキラさせて言った。
「あのね、お姉ちゃんすごいんだよ。さっき鬼が襲ってきたんだけど、あっという間に倒しちゃったの!それにね、キラキラ光ってたの。綺麗だったのよ」
「ねー、清兄ちゃん!」と言うと、「うん。本当にすごかった」とてる子ほどではないものの、少し興奮していた。
「へえ…、俺も見たかったなぁ」
と、そんな話をしてすぐに別れた。
元々この屋敷は鼓の鬼の家なのだろうが、場所が場所なだけに色々な鬼が住み着いてしまったのだろう。
「あなたで最後みたいですね」
「鬼狩り…!」
桜の姿を見た瞬間、鬼は反対方向に逃げ出した。
「あらあら…逃げなくても良いじゃないですか」
トン、と鬼の目の前に降り立つと、鬼は驚いた表情をして後ずさる。
「な、なんで目の前に……」
「ふふふ、私、こう見えて鬼殺隊の中でも足の速さはピカイチなんです」
にっこり笑って刀を構える。
「光の呼吸 壱ノ型 電光石火」
鬼は逃げる間もなく頸を斬られて消えていった。
「……さようなら、鬼さん」
鬼を殲滅して外に出ると、異様な光景が広がっていた。
泡を吹いて倒れている猪頭少年。何故?と炭治郎の方を見れば、彼の額が赤かった。犯人はお前か。
「桜さん、無事だったんですねぇ!」
周りに花を飛ばしながら走ってくる善逸を反射的に避けた。桜に抱きつこうとしていたため、バランスを崩して地面とお友達になったようだ。
「なんで避けるんですかぁ…」
「……人をケツで突き飛ばしといて何を言っているの?」
「ひっ!あ、あれは、あれはその…すみませぇぇぇん!!」
汚い高音が周囲に響いた。
……まぁ、突き飛ばされてなくても避けていたのだが。