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鬼滅の刃〜炎の絆〜

第2章 家族の絆ー中編ー


寄り道も終わり、桜は鬼を連れた隊士の元へと向かっていた。

あのあと不死川に何の任務なのか聞かれたが、「鬼は全て殲滅する!」と血走った目で言うような男だ。流石に答えることはできず“ちょっと特殊な任務”とだけ伝えた。

「気い付けてなァ」と別れ際に言ってくれて、おまけに大好物の金平糖までくれた。おはぎのお礼だ、って。

本当に優しい人だ。その顔と普段の人を寄せ付けない性格で一般隊士には怯えられているけれど。

杏寿郎とはまた違った優しさと信念を持っていて、家族や友人に対する“好き”とは違う感情を教えてくれた人。


……想うだけなら、自由だよね。


キラキラと光る金平糖を一粒食べると、口の中がほんのり甘くなった。

「うん、おいしい」





*****





鎹鴉に案内された場所は、狭霧山の麓にある家だった。ここに、育ての鱗滝さんと例の隊士がいるらしい。

「ごめんください」と訪ねると、一人の老人が家から出てきた。

「天狗…!」

本当にいたんだ…、と呟いたら「違う」と否定された。よく見るとお面だ。なぜお面をつけているのかは知らないが、この人が鱗滝さんなのだろう。

「失礼しました。私は煉獄桜と申します。こちらに鬼を連れた隊士がいると聞いて来たのですが…」
「儂は鱗滝左近次と言う。…炭治郎はもうここを出た」
「え?」
「鎹鴉から指令が来てな。“任務地で煉獄桜と合流せよ”と言われていた」

……………………………………。

チラッと自分の肩に乗った鴉を見ると、プイッと明後日の方向をみて呟いた。

「……北西ノ町へ向カエー!」

この鴉…わざとか。

まあでも丁度いいかもしれない。隊士と鬼のことについて、二年近く一緒にいたと言う鱗滝さんに話を聞いてみた。

炭治郎と言う少年のこと、鬼の禰󠄀豆子のことを色々と。

お館様が言っていた通り、飢餓状態でありながら本当に人を食べていないらしい。そして、人を食べる代わりに寝て体力を回復するのだとか。



「色々とお話が聞けて良かったです。ありがとうございます」
「構わない。…炭治郎と禰󠄀豆子のこと、宜しく頼む」

鱗滝の言葉に頷き、軽く挨拶をしてその場を後にした。

向かうは北西の町。そこに鬼を連れた隊士、炭治郎と禰󠄀豆子がいる。

お手並拝見させてもらおう、と心の中で呟いた。


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