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鬼滅の刃〜炎の絆〜

第1章 家族の絆ー前編ー


無事帰宅すると、杏寿郎も初任務を終えて帰宅していた。

「おかえり!無事で何よりだ!!」
「姉上、お帰りなさい!」

ててて、と側に寄ってくる千寿郎の頭を撫でながら「ただいま」と返事する。

「姉上はお怪我はありませんか?兄上は任務中に鼓膜を破ったようで…」
「私は大丈夫よ。それより鼓膜を破ったって…自分でやったの?」

千寿郎の言い方に疑問を感じ、杏寿郎に問いかけた。

「うむ!笛の血気術だったのでな!回避する為に自分で破った!!」
「…そう。でも無事に倒せたのなら良かった」
「ああ…、指文字で鬼のことを知らせてくれたからな。おかげで助かった」

いつもの声量ではなく、少し小さめの声。そして鬼を倒したと言うのに悲しそうな表情。杏寿郎の初任務は、清々しいものでは無かったのだろう。

「最終選抜で知り合った子たちも同じ任務だったんだ。俺が着いた時にはもう亡くなっていた」
「…………」
「“共に頑張ろう!”と励まし合った子だったが。その子の指文字に俺は救われたんだ」

ギュッと握った拳に力を入れる。その姿が痛々しくて、悔しさが滲み出ていた。

「昔、父上が言っていただろう。“つい先日笑い合っていた仲間が亡くなるのはよくある話”だと」

鬼の言動には反吐が出る。まさにその通りだと思った。

「一人の少女を守り抜いて亡くなっていた。自分ではない誰かの為に動き助ける、…俺もそんな風になりたい」

ああ…、杏寿郎の初任務は、今後の自分の為になる大きな第一歩だったのね。

強い決意をした眼差しに、桜はフッと笑う。

「杏寿郎なら、なれるよ。」

元々人の為に動ける心優しい子なのだから。

そんな桜の言葉を聞いて杏寿郎は太陽のような明るい笑顔を見せる。

「うむ、ありがとう!日々精進するとしよう!!」





「桜は初任務はどうだった?」
「……うん、まあ色々と特殊だったよ」

思い出したくもない、と言葉を濁す。そんな桜を見て杏寿郎は「無事で本当に良かった」と安堵の息を漏らす。そして再び真剣な表情になった。

「…桜は、このまま鬼殺隊を続けるのか?」
「…そのつもり、だけど」
「俺は……」

この先の言葉を言うべきではないのだろう。でも言わずにはいられなかった。

「俺は桜に鬼殺隊を続けて欲しくない」


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