第6章 偉人のまねをしてみましょう
ひとしきり笑い終わったあと、もう一回切り出した。
「で、さっきの続きなんだけど。」
「何だ。」
「万華鏡を開眼してるのって、まだ兄ちゃんだけ?」
ここ重要。
最悪、兄ちゃんだけだった場合、計画は中止だ。
兄ちゃんは少し考えた後、口を開いた。
「いや…。確かフガクさんが開眼したって話を聞いたことがある。」
思わず口端が上がってしまった。
知ってるストーリー通りだ。
「それ、いつの話か分かる?」
「多分、九尾事件の後だと思うが…。まさかフガクさんの名前を出すつもりか?」
兄ちゃんが渋い顔をする。
「ついでに九尾の引き摺り出し方も私なりに調べるつもり。」
「止めろ。そんなことしたら一族から目をつけられるぞ。」
「止めない。変に隠すから疑われるんだって。九尾の引き摺り出し方なんて、里に秘匿する必要ないじゃん。」
「けどな…」
「秘術だろうが何だろうが、それ一つ外に出たくらいで一族の力は衰えない。だってうちはの強みは血に受け継がれる血継限界でしょ?」
兄ちゃんは私の答えに口を噤む。
「秘術一つ漏洩したくらいで、技が盗まれることなんて何一つ無いと思う。」
ダメ押しにもう一丁付け足した。
兄ちゃんがため息をつく。
わははは。勝った。
「…黙って名前を出すつもりか?」
「まさかまさか。ちゃんと確認しに行くよ。
万華鏡開眼の確認と、これからやろうとしてることの粗方の説明と。」
それを聞いて、兄ちゃんはため息をつきながら額を抑えた。
「…先が思いやられる。」
「あ、先に謝っとくね。とばっちりが行ったらごめんね。」
私は誤魔化し笑いを浮かべながら顔の前で両手を合わせた。