第6章 偉人のまねをしてみましょう
ごめんな、エニシ。
シスイは楽しそうに母と話すエニシを見ながら心の中で呟いた。
エニシに話したのは”写輪眼”開眼のきっかけであり、万華鏡写輪眼ではない。
シスイはどうしても言えなかった。
最も親しい友を殺した事で万華鏡を得たとは。
『万華鏡写輪眼の会得するには”最も親しい友を殺す事”って言ってたの思い出したんだよ。』
以前のエニシの言葉には、息が止まるほど驚いた。
そして、シスイは思った。
エニシの話した事は、きっと本当に起こる事なんだろう、と…。
どういう状況か分からないが、おそらく自分がイタチにそれを教えたのだろう、とシスイは思う。
そして、イタチがそれを実行に移したという絵が容易に想像出来た。
エニシに嘘をついてしまった事が少し心苦しかった。
本気で心配している事が伝わったし、心配しただろうから。
けれど、友を殺したなどという事は、知らないでいてほしかった。
エニシの前では、強い兄でありたかった。
「偽善…だな。」
そう呟いて、シスイは自嘲気味に笑った。