第6章 偉人のまねをしてみましょう
「…厳密に言えば違うな。写輪眼のままでも万華鏡写輪眼に近い形で使いこなせばできない事はない。だが、万華鏡写輪眼の方が瞳力としては強い。」
「待った。その万華鏡写輪眼の開眼する条件みたいなのって何かあるの?チャクラの量とか、血筋とか。」
「無いな。一族全てにその資質はある。だが、強いて言えばチャクラの量とチャクラコントロールの優劣だろうな。」
「チャクラコントロール?」
「写輪眼は相当量のチャクラを食うんだ。それを如何に抑えて使いこなせるか。それが使いこなす為のミソだ。」
「それをチャクラコントロールで制御する事で万華鏡写輪眼を開眼させる?」
兄ちゃんは言いにくそうに視線を逸らした。
「…きっかけがあるんだ。写輪眼にしても万華鏡にしても開眼するには”痛い”経験がきっかけになる。
そこから使いこなせるかどうかは、チャクラコントロールにかかってくる。」
写輪眼の開眼が悲しい経験が糸口だという事は知っていた。
知っていたけど、兄ちゃんが開眼している事を至極当たり前に受け入れていた。
きっかけを気にしたことが今までなかったのだ。
兄ちゃんは何で開眼まで至ったのか、凄く気になった。
「…兄ちゃんのきっかけってさ…、何だったの…?」
聞くと、兄ちゃんは悲し気にちらりと私を見た後、また視線を逸らした。
私はじっと待つ。
ちゃんと聞いておかないといけないと思った。
万華鏡を題材にするならば特に。
「…お前が生まれて少しした頃…、父さんと少し遠出して終末の谷辺りまで行ったことがあってな…。その時、運悪く暗殺を目論む他里の忍と遭遇して…。」
そこで言葉が切れて、兄ちゃんはぎゅっと手を握り込んだ。
「父さんが瀕死の重症を負ったんだ…。」
「瀕死…って…。」
信じられなかった。
そんな事、聞いたこともなければ、感じさせる様な何かもない。