第6章 偉人のまねをしてみましょう
「退け。」
「退きません。」
「だったらお前も…、っ!!」
様子が変わった。
何だろう、何があった?
「しゃ、写輪眼だ。」
「い、行くぞ。」
上級生三人は逃げて行った。
あの子、開眼してたんだ。
安心したのか写輪眼のせいなのか、その子は気を失い、イタチが駆け寄って支えていた。
それを見た途端、心臓がつきんと痛んだ。
「…おい、行こうぜ。」
促す声に、はっと我に帰ってトウキを見た。
すると、トウキが目を瞠る。
「もしかして、お前…。」
「…何?」
「いや…、何でもない。」
「そ。さて、ご飯ご飯。」
大丈夫。
ちっとも気にならない。
痛くなったそれは気のせい。
あの上級生に言えなくて、悔しかったせい。
きっと、そう。
私は、思考に蓋をするように、心の中で言葉を重ねていく。
私は、トウキと並んで教室へ戻って行った。