第6章 偉人のまねをしてみましょう
「ここに土下座して、”うちは一族ですみませんでした”って謝れよ!」
…はあぁぁ!!?
もおぉぉ〜、あったまきた!
黙ってられない!
私は怒り心頭で一歩踏み出した所に、後ろからぐいっと腕を引かれて立ち止まる。
怒りのまま後ろを振り返ると、トウキがびくっと一瞬体をびくつかせながらも私の腕を取っていた。
次いで、首をぶんぶんと横に振る。
(あの人はヤバいって…!)
トウキは小声でひそひそと言う。
それに合わせて私も声を落とした。
(じゃあ何?あそこまで言われて黙ってろって言うの?)
(言わせとけばいいだろ。言われてるのはうちはイタチだ。あいつが相手なら絶対撃退出来るから。)
(言われてるのはイタチでも、あいつは一族を馬鹿にした。イタチだけの問題じゃない。あいつはうちは一族に喧嘩売ってんのよ?)
「やめなさいよ!」
静寂の中、幼い声が廊下に響き渡る。
その声に小声で言い合いをしていた私達も、はっとそちらを向いた。
「私もうちは一族です!でもあなた達に謝るつもりはありません!だって、九尾を呼んだのは、うちは一族じゃないから。」
知らない女の子がイタチを庇うように、両手を広げて立っていた。
「うちは一族も里に住んでるんです。この前の騒ぎで大事な人が死んでるんです。だから…。
犯人はうちはじゃない!」
…なーんだ。全部言われちゃったよ。
私が言いたかったのに…。
何だか胸の中がぐるぐるする。