第5章 春はやっぱり桜だね
『俺を殺せ、イタチ。』
テレビ画面の中に映るのは”シスイ”だ。
その両眼は固く閉ざされ血が流れている。
『そして、万華鏡写輪眼を得るんだ。』
何言ってるの…。
ダメだよ、そんなの…。
兄ちゃんの背中に誰かの両手が添えられた。
多分、イタチだ。
そんな…!待って!!
『…後は頼んだぞ。』
両手がそっと押されて、兄ちゃんは抵抗も何もなく落下した。
私は思わず、画面に手を伸ばした。
兄ちゃん!!!
「……!!!」
目が覚めた瞬間、飛び起きた。
辺りは真っ暗な、いつもの子供部屋。
ゆ、め…?
ゆめ、だよね…?
隣を見ると、兄ちゃんが寝ている。
思わず顔の上に手を翳して確かめた。
すー、すー、と規則正しく息が当たるのを感じる。
夢だ。
夢だった…。
良かったぁ〜…。