第5章 春はやっぱり桜だね
「兄ちゃんは心配性だよね。」
一人帰り道で笑う。
頭を打ったあの日もあんな風に、送ろうか、って言われたんだよね。
「ただいま〜。」
家の中からは返事は返ってこない。
母さんは出かけてるのかも。
私はそのまま部屋に向かう。
自分の部屋の机に座ると、懐かしい思いのまま、初めて記憶を思い出した時のノートを見返した。
これが今から起こるのか、と思うと、今更ながら厳しい世界だな、って思う。
だって待ったなしで、限界を超える様な出来事が次々に起こるんだもん。
最後には笑って終われる物語だけど、それまでの道のりがキツくて遠い。
「本編だと、今はまだ始まってもないんだよねぇ…。」
うちは一族のクーデター画策。
イタチは里と一族の間での板挟み。
一族皆殺し。
サスケへの嘘と、その時出来た深い溝…。
パラパラ捲って読んでるうちに、何かが足りない気がしてきた。
特に、そう。
イタチってどうやって万華鏡写輪眼手に入れたんだっけ?
確かサスケに”最も親しい友を殺すこと”って言ってなかった?
あれ?イタチの親友って誰だ?
もしかして、兄ちゃん?
…あれ?ヤバくない?
いやいや。幾ら何でもそんな訳ないよね。
イタチが兄ちゃんを殺す…?
いやいやいや!
友達が一人だけなんて、いくら何でもそんな事…。
あり得そう…。
…そもそも何でそんな状況になっちゃったんだっけ?
うわ〜…。こんな事になるんならもっとちゃんと本を読み返しておくんだった。
一回読んだだけで捨てちゃったよ。
アニメの方に夢中になっちゃったんだよね。
とりあえず、兄ちゃんが帰ったら確かめてみよう。