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もう一度、を叶えるために。first

第4章 そうだ、修行をしよう




「来たか!落ちこぼれ!」

トウキの取り巻きが、私の姿を見た途端叫んだ。
私は黙って近くまで行くと、トウキが腕を組んで私の前に立つ。

「自信あるんだろ。まずは実力を見せてみろよ。」

意地悪そうに笑い見下ろすトウキ。
前までの私だったら、きっとびびって後ずさってただろう。
けど今は違う。
私は一歩も引く事なく、下から奴を睨みつけた。

「…何で私だけがやる流れなのさ。あんた等は見てるだけかよ。」

「どれだけのへなちょこ具合か見てやる。」

ほんとに気に入らないわ。この上から目線。
私はお前に教えてほしいなんて一言も言ってないんだけど。

私はクナイホルダーから一本引っ張り出して、ぎゅっと握るとその切先をトウキ向ける。

「どいて。」

一言言うと、トウキは顔を険しくさせた。

「お前…!」

「このまま乱闘になったって私は構わないけど?」

すかさず言い返すと、トウキは私を睨んだまま道を開けた。
私はそのまま真っ直ぐ進むと、取り巻き達も私を睨みながら黙って道を開けた。

その向こうに丸太に括り付けた的が見えた。
距離はいつもと同じくらいだ。
私は少し構えると、流れる様な動きでクナイを投げた。

ストン!

ど真ん中…は無理だったけど、黒丸のすぐ外側の円内に当たる。

私が黙ってトウキ振り返ると、目を見開いて驚いていた。

「お前…いつの間に…。」

「気が済んだ?じゃ、帰るから。」

「待て!」

さっさと帰ろうとする私をトウキが止める。

「勝負しろ。クナイ投げ五本勝負だ!」

トウキは怒った様な、挑む様な目で私を見ていた。
初めて向けられる瞳だ。

…なんか、余計な火をつけちゃった感じ…?

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