• テキストサイズ

もう一度、を叶えるために。first

第4章 そうだ、修行をしよう





「エニシ!今からクナイの練習見てやるからお前も来い!」

出たよ、ジャイアン。…じゃないか、トウキ。
と、その愉快な仲間達。

いつもだったら断るが、最近はクナイだってやり込んでる。
兄ちゃんにも時々見てもらってて、今じゃあ百発百中で当てる事に成功してる。
実力を測るにはいい機会かもしれない。

「いいよ。どこ集合?」

私が答えると、意外だったのかトウキが目を丸くした。

「お前にクナイ投げが出来るのかよ。」

…誘っといて何言ってんだ、こいつ。

「そういう嫌な言い方するんなら行かない。帰るわ。」

私はムカっとしたまま言い返して帰り支度を始めると、周りが騒ぎ出す。

「お前、誰に向かって口聞いてんだよ!」

「落ちこぼれのくせに!」

「トウキが折角見てやるって言ってんだから黙ってついて来い!」

うわ…。ほんとに何様発言返ってきたよ。

私があからさまに嫌そうな顔を浮かべてそいつらを見ると、トウキが手で止めた。

「今から第二演習場に行く。逃げるなよ。」

トウキはそれだけ言うと、さっさと教室を出て行った。
それを愉快な仲間達が慌てて追いかける。

「けっ。金魚の糞共が。」

私はべーっと舌を出した。
そして、帰り支度を始める。

「…本当に行くの?」

隣の女の子が心配そうな様子で話しかけてきた。
気弱だけど、優しい子だ。

「うん、行くよ。最近クナイも練習してるからちょっとは自信あるしね。」

私はにっと笑って席を立つ。

「じゃあね。また明日。」

そう言うと、その子は心配そうにしつつも手を振り返した。

/ 662ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp