第19章 お別れと始まり
追いつかれては庇われて、私も応戦して、って繰り返すうちに、断片的な記憶が噴き出すように蘇ってきた。
いつの場面なのかも、どの時期なのかも、断片が繋がっていく度に判別できるようになっていく。
目の前の人が誰なのかも、もう思い出した。
この人は、兄ちゃんだ。
この世で一番大事な人。
私を支えてくれたかけがえのない人。
だからこそ、この状況が理解できない。
いや、理解したくない。
だって、相手は暗部の中でも”根”に属する者達だから。
根から追われてる理由が一つしか思い浮かばない。
「どういうことなの!?兄ちゃん!!」
「お前…、…っ!?」
まともに話をする暇もなく、次から次へと攻撃を仕掛けられて、その度に遠くへ遠くへと逃げる。