第18章 記憶喪失に…なりました?
「…エニシ?」
もぞもぞっと布団が動き、瞬時に体が強張る。
カチッと言う音と共に部屋の電気がついて、そこにはナルトが立っていた。
あ〜びっくりした〜…。
「ナルトか…。ごめん、起こしちゃったね。」
「いや、それよりお前旅行行くって…。」
「あぁ、それね…。よく分からないけど、私、里から出られない身なんだって。」
「はあ…?」
怪訝な顔をするナルトに肩を竦めて見せる。
「とにかく旅行は中止。で、そのままバイト行ってたの。」
私は言いながら、窓やドアの鍵をチェックする。さっきみたいな人に侵入されたらたまったもんじゃないからね。
全部点検し終わると、ジーンズとトレーナーをその場で脱いで畳み始めた。
「お前さ…、女って自覚を持った方がいいってばよ。」
「いいじゃん、減るもんじゃなし。この方が早いし。んじゃ、お風呂入ってくるね〜。」
って言って、速攻でシャワーを浴びて、手早く髪を乾かしてからパジャマに着替えて、歯ブラシして部屋へと戻る。
「はやっ!」
「働いてきたから疲れてんの。ほら、寝よ寝よ。」
「いや、帰ってきたんなら戻るってばよ。」
「いやいやいや!こんな時間に外に出るとか自殺行為だから!」
さっきみたいな奴が待ち構えてたらどうすんのよ!
「いいから布団に入る!そして寝る!」
「な、何なんだよ。分かった、分かったってばよ…。」
私はナルトをせっついて布団に引っ張り込んで、抱き込むように潜った。
子どもの体温ってあったかいよね。
ほっとする。
「おやすみ〜。」
「お、おやすみ…。」
気が抜けたら眠くなってきた。
眠れそうで良かったぁ…。