第4章 そうだ、修行をしよう
途中、死の森近くの演習場を通ると、遠目に子供が一人クナイの練習をしているのが目に入る。
誰だろうと、足を止めると背中にうちはの家紋が見えた。
紺色の長袖とハーフパンツ姿に髪を後ろで一つに結んだその後ろ姿に見覚えがある。
ちらりと見えたその横顔に、胸が一気に高鳴った。
イタチだった。
私は思いもよらなかった人物に、両手で胸の辺りを押さえた。
とくん、とくん、と鳴る心音は次第に強く速くなる。
こんな早くから鍛錬してるんだ…。
そりゃ強くもなるよ。
跳ねる心臓に蓋をするかの様に、私はまた走り出す。
家までの道のりを全速力で。
そして、ひたすら自分に言い聞かせた。
ダメ。
この想いは絶対叶わない。
だから絶対ダメ。
諦めなきゃ。
忘れなきゃ。
思い出しちゃダメ。
鎮まれ、私の心臓…!