第4章 そうだ、修行をしよう
兄ちゃんのアドバイスを受けて、私は毎朝走り込みをしようと思い立つ。
ランニングは体力アップの基礎だよね。
兄ちゃんは一時間全力で走っても疲れないんだってさ。
全力で走れる人間の限界って100メートルじゃないの?って思ったけど、本人が疲れないって言うんだからそうなんだろうな。
そこまでいかなくても、今よりは走れる様になるんじゃないかと思ってやってみる事にした。
朝焼けの時間、ちらほらと人はいる。
今日は初日だし慣らし運転ってことで、マイペースで疲れたと思った所で引き返すとしよう。
繁華街に続く道や大通りは、人通りが多いので避けて通る。
雑木林の側とか、演習場の近くとか。
そっちの方が全く人と会わない。
案外、走れるものかもしれない、なんて走りながら思った。
持久走には自信があったけど、あまりにも長い距離はダメだろうなって思ってたから意外だった。
河川敷の辺りでいよいよ疲れが出て止まった。
朝日が川の反対側から顔を出していた。
息は上がっているけど、心地よい疲れがあるだけで帰りも問題なく走って帰れそうだ。
帰りは行きとは違う道を選んで通る。
朝を迎えたせいか、人通りが多くなっている。
行きと違い、人通りを避けては通れない。
時々、うちはの家紋を着た私を見て、眉を顰める人がいるけれど気にしない。
まともに受けて馬鹿を見るのは私だ。