第18章 記憶喪失に…なりました?
「俺達から逃げられると思ってるのか!」
「一族に詫びるつもりがないのか!!」
「これ以上、生き恥を晒すな!!」
意味が分からない。
私が不幸そうにしてないからいけないって言うの?
私が一族にしたことって何?
何が生き恥なのよ?
あの人達、頭オカシイと思う。
さっきから、一族の為に、とか一族に詫びろ、とか抽象的なことしか言ってなくて、全然要領が掴めない。
とにかく、あの人達に捕まったら酷い事になるってことだけは分かる。
でも、隠れながら逃げてもすぐ見つかっちゃって、どうすることも出来ない。
時々飛んでくるデカい火の玉も短剣も凄く怖い。
「あ…!」
嘘!?行き止まり!!
カキン!
短剣をどうにか避けて壁に背を向けると、三人はすぐそこまで来ていた。
その目は赤に染まっていて、爛々と妖しく鈍く光っているように見える。
「ちょこまかと逃げやがって!大人しく手足を差し出せ!」
一人が背中から剣を抜いて私に向ける。
「いや、もう必要ない。こいつは万死に値する。こいつには元々一族への罪悪感なんて持ち合わせていなかったんだ。」
「そうだな、初めから勝手な奴だった。一族でなく、里に肩入れするような厚顔無恥な、な。」
「こいつさえいなければ、一族はもっと早くに決断出来ただろう。」
こ、こわい…!
「こんな害悪な奴さえいなければ!」
構えた剣が一気に振り下ろされて、私は咄嗟に頭を庇ってしゃがんだ。