第18章 記憶喪失に…なりました?
「め〜し!め〜し!ラーメン!ラーメン!」
「分かった、分かったから。街中ででそれやめて。恥ずかしから。」
結局、今晩のご馳走はラーメンなんだって。
誕生日にまでラーメン…。
意味不明です。
「へい、らっしゃい!」
ここがナルト行きつけのラーメン屋、一楽。
メニューが豊富だね。
定番のしょうゆ、みそ、しおに加えて、辛味噌、豚骨、つけめん、トマトなんて変り種もある。
初めてだし、定番でいこうかな。
「ナルト決まった?」
「俺はチャーシューで。」
「じゃ、私も同じの頼むわ。」
「おっちゃん!チャーシュー二つ!」
さすが行きつけ。
「はいよ!」
注文がスムーズね。
「珍しいな、ナルトが誰かと来るなんて。」
店主は調理しながらカウンター席の私達に話しかけてきた。
「今日は俺の誕生日だかんな!奢ってもらうんだってばよ!」
「お、そうか…そうだったな。今日誕生日だったな。じゃあ、チャーシュー二枚おまけしとくよ。」
「さ〜すが、おっちゃん!ラッキー♪」
「早いもんだねぇ。あんなに小さかったナルトがこんなに大きくなって。今年幾つだい?」
「七歳になったってばよ!」
「そうかい、おめでとう!お嬢ちゃんも、これからもナルトのことをよろしくな。」
優しげな微笑みを向けられて、私も笑顔で「はい」と答えた。
「はあ〜、満腹満腹。」
ご満悦なのはいいけど、忘れてない?
「…ねぇ、今更だけどケーキ入るの?」
案の定、「あ…」と思い出したみたいな顔をしたナルト。
「だ、大丈夫だってばよ。」
「…明日にする?」
味はちょっと落ちるけど。
「いや!意地でも食う!」
「いやいや、意地で食うもんじゃないから。」
普通に自滅コースだよ。
で、本当にその日のうちにケーキを開けた。
蝋燭を七本立てて、ライターで火をつけて、「おめでとう!」と拍手しながらふうぅっと消す。
…これがやりたかっただけじゃね?
その証拠に切り分けたケーキの半分も食べないうちにナルトの手が止まった。
「…おれ、もういらないってばよ。」
「だろうね。」
そうなると思ったよ。