第4章 そうだ、修行をしよう
「…そうか。」
兄としては複雑だった。
エニシの恋が実ればいいと思う反面、実らない事に安堵する思いもあった。
イタチのこれからは正に茨の道だ。
イタチと想いを寄せ合うということは、彼の茨の道にエニシは否応なしに巻き込まれていくことを意味する。
それは、兄としては承服できない。
生き残ったその後は、エニシには穏やかに生きていってほしい。
何だったら、イタチやサスケの事など忘れたって構わない、とまでシスイは思っていた。
そこまで考えが至って、自分は案外残酷なんだなぁ、と自嘲する。
「まぁ…。お前がそれで納得出来るんならそれでいいさ。」
「うん、大丈夫。だから一生言わないどいて。」
エニシはそう言って両手を合わせて、戯ける様に笑った。
シスイは、それを見て微苦笑を浮かべる。
「しょうがないな。黙っててやるよ。」
そう言うと、エニシはにっと笑う。
「さっすが兄ちゃん。」
案外、俺も妹バカになってるもんだな、とシスイは思う。
「やれやれ…。」
シスイは呟いて、少し肩を竦めた。