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もう一度、を叶えるために。first

第18章 記憶喪失に…なりました?



「サスケ…。」

ナルトが私の服の裾をぎゅっと握りながら呟いた。

「知ってる子?」

聞いてみたら、強張らせた顔をばっと向けてからすっと俯いてしまう。

「エニシ、だよな…。」

「え…?」

自分の名前を呼ばれて、私は驚いてサスケ君の方を向いた。
彼は、怒ったような悲しんでるような複雑な顔をして私を凝視している。

…どうやら、サスケ君は私を知ってる模様。
今度は私が身を固くする番だった。

「何で…?どうして一族から出て行ったんだよ?何があったんだ!?」

「えっとー…。」

寧ろ私が聞きたいんですが…。

凄く怒ってるみたいだし、私も事情を全く呑み込んでないしで、現状をありのままに伝えていいのかも迷う。

「サスケ。」

困っていると、別の声が割り込んできた。
声の主を探すと、少し離れた所に男の子が立っていた。どうやらその子らしい。
長い髪を後ろで緩く縛っていて、歳は私と同じくらいなのかな。顔はよく見えない。

「兄さん!」

サスケ君は一目散にその子の所へ走っていく。その背中にはうちはの家紋があって私は息を呑んだ。

一族の子…。だから…。

サスケ君は私の方を指差しながら、しきりに兄さんと呼んだ子に話している。
そして、その男の子がサスケ君から視線を上げて私を見た。
その瞬間、ざわざわと言いようのない気持ちが迫り上がってきて、逃げ出したくなるのを必死に堪えた。
私は後退りそうになる足を必死で縫い止めて形ばかりの会釈をする。すると、その子もぎこちない感じで会釈を返してきた。

「エニシ…?」

不意にナルトの手が私に触れて、ぎゅっと握りしめていた事に気がつくと同時に、その子から視線を外すことが出来た。
心配そうな目が私を見上げていて、宥めるように頭を撫でた。

「大丈夫だよ。でも…今日は帰ろっか。」

「うん…。」

私はサスケ君達の方へは目を向けることなく背を向けた。

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