第18章 記憶喪失に…なりました?
「わぁ、本当に気持ちいいね。」
風は冷たいけど日差しは暖かい。
もこもこジャンパーを着てれば快適だ。
「その服、動きづらくねぇか?」
「そう?可愛いと思うけどなぁ。私は気に入ってるんだけど。」
これは、バイトの先輩にお土産に貰ったの。
都では割と小洒落た服がいっぱい売ってるんだって。
細かな刺繍が広がる長めの白いワンピースに桜色のふんわりブラウス。
ウエストがきゅっとなってて形がいいから私は好きなんだけどなぁ。
「ふーん。ひらひらしててめんどくさそうだってばよ。」
うわぁ…。
「あんたね、女の子の服装は嘘だろうと褒めなさいよ。そんなデリカシーのないこと言ってると好きな子にモテないわよ。」
まったく…。
「なっ…そうなのか!?」
「ええぇ!?」
本気で驚いてますよ、この子!
ちょっとどういうこと?
もう好きな子がいるの!?
「誰、誰!?」
「な、何が…?」
引き攣って逃げ腰になっても遅いわよ。
「好きな子いるんでしょ?誰よ、教えなさいよ!」
気になる〜!
っていうか顔真っ赤だし!
かわい〜!
「っていうか、お前はいねえのかよ!」
「いないよそんなもん。それで誰よ。」
「お、おれだっていねぇってばよ!」
「ムダムダ。遅いってばよ。」
「真似すんな!」
「お〜し〜え〜て〜よ〜!」
「言わねぇ!」
「けちんぼー。」
何よー、教えてくれたっていいのにー。
ナルトから目を離してふと正面を見ると、知らない男の子が呆然と立っていた。
ナルトと同じくらいじゃないかな。