第18章 記憶喪失に…なりました?
『ー……。一族にとって写輪眼は象徴で誇りなんです。それを封じられたことで溜飲が下った。…それに、思い出したところでエニシには辛いだけだ。だから、思い出さないようそっとしておいてもらえませんか。』
そう言いながらも強く握られた手は、シスイの重い悲嘆が窺えた。
それにエニシの身柄は火影管轄となり、監視の上、その事情には緘口令が敷かれている。
「きっとね、忘れた記憶の中には思い出したくない事がいっぱい詰まってるんだよ。」
悲しそうな二人の視線を受けて、ナナホは苦笑した。
「だからね…、頑張った分、休ませてあげよう。」
そう言うと、二人が逡巡しながらもぎこちなく頷き返し、ナナホはほっとする。
「ほら、偶にだったらきっと会えるからさ。また最初から始めればいいんだよ。」
「…今日みたいに?」
「そう、今日みたいに。なにも永遠に会えないわけじゃないんだからさ。」
「…先生、切り替え早すぎ…。」
ユウとトウキは同時に、ごろんとひっくり返るように寝転んだ。