第18章 記憶喪失に…なりました?
「なぁ、先生。あれ何なんだよ。」
トウキは耐えきれずに片手で乱暴に頭を掻きながら店に背を向ける。
ユウも戸惑い半分憤り半分といった感じで、ナナホを見つめていた。
「先生、何か知ってるよな。一番動じてなかったもん。」
ナナホは二人を見て苦笑した。
「俺の家に行こうか。」
そこから割と近場だったこともあり、三人はナナホの家へと向かった。
「さて、どこから話そうか。」
ナナホは二人にお茶を差し出しながら、そう切り出した。
「記憶喪失って言ってたよな?何がどうなってるんだよ。」
「…そうだね。」
ナナホは一度、気落ちしたように視線を落とすと、真っ直ぐに二人に向き合った。
「うちは一族で粛清が成されたんだ。写輪眼を封じるためにエニシの記憶そのものを封じて一族から追い出した。」
「何で…そんなこと…。」
トウキは顔を青褪めさせた。
「エニシのしたことが、里転覆の企てだったからだよ。」
「なっ…!?」
「嘘だ!エニシがそんな事する筈がない!!」
トウキは絶句し、ユウは憤った。
「俺もそう思う。けれども、それによってうちは一族に疑いの目が向いたんだ。それで一族が激怒した。今の状態は術によるものだって聞いてるよ。」
それを聞いた二人は、愕然としながら俯いてしまう。
「エニシは…失敗したのか…?」
トウキの呟きにナナホは悲しそうに少し笑った。
「エニシのお兄さんから言われたんだ。もしエニシを見かけても関わらないでくれ、って。」