第18章 記憶喪失に…なりました?
結局、バイトは募集してないそうで、私は次に行くべく店を出た。
その時、丁度お会計を済ませたナナホさん達と途中まで一緒に行くことになった。
道すがらお互いのことを色々話している内に、バイトを探してることを言ったら雇ってくれそうなお店を紹介してもらえることになったんだ。
ラッキー♪
「スリーマンセル?」
「そう。三人一組に行動する時の単位だよ。」
「そっか。じゃ、みんな同じ班のひとなんですね。」
因みに、青年二人はトウキ君とユウ君なんだって。私と同い年みたい。
「そうだね。今日は中忍試験合格のお祝いに来てたんだよ。」
確か、下忍、中忍、上忍って昇格してくんだっけ。
「そうなんだ、おめでとうございます。これで、三人ともが中忍?」
「いや、俺は上忍。この子達の受け持ちだったんだよ。」
“だった”…?
「ってことは…?班は解散?」
…どういうこと?
「下忍の監督をするのが俺の仕事。中忍になったらこの子達は卒業ってことになるかな。」
「一人前になったってことですか?」
私は振り返る。
そっかぁ、二人ともが新人さんなんだ。
「良かったですね。」
二人に言うと、複雑そうにしながらも会釈が返ってきた。
「あぁ、ほら。ここだよ。」
着いた先は、こじんまりとしたお店。入り口に掛かっている暖簾には”大衆食堂 まるふく”と書いてある。
中からはがやがやと人の話し声が聞こえてきて、賑わっている様子が窺えた。
これは期待できるかも。
私はナナホさんを振り返る。
「ありがとうございます。行ってみます。」
「うん、がんばってね。それじゃ。」
「はい、また。」
手を振って見送られて、手を振り返してから中へと入っていった。