第18章 記憶喪失に…なりました?
街は雑貨屋や武器屋、八百屋みたいな個人店まで色々あるけど、なんせ飲食店が多い。
その中でも和食がダントツ。
その次に甘味処、その次が大衆食堂。
あ、焼肉屋もあるのね。
この中だと焼肉屋が一番給金が高そう。
お料理の値段設定も高い分、利益も入りやすいんじゃないかな。
大繁盛みたいだし。
…ちょっと行ってみようかな。
カラカラカラっと小気味良い音の玄関をそっと開けると、ガヤガヤガヤとかなり大音量の話し声に包まれる。
「いらっしゃい!」
受付らしい人の挨拶に、ぐっと腹を決めて近づいていく。
「あの、ここではバイトを募集してませんか?」
「バイト、ですか?」
「はい。」
複雑そうな顔をしたその人は、戸惑いながらも店の中をきょろきょろと見回した。
「えっと、ちょっと待っててくださいね。」
と言ってそこを離れてしまう。
「お〜い!お会計!」
「は〜い。」
別の人がレジに入って、帰りの客を捌いていく。
私は邪魔にならないように、色々とスペースの隙間に入って道を開けていく。
「エニシ…?」
名前を呼ばれて振り向くと、同い年くらいの男の子が二人立っていた。