第18章 記憶喪失に…なりました?
その後、三日程かけて家具を揃えていった。
冬に向けてこたつ付きのテーブルとカーペットを買い、簡易箪笥に洋服の追加、調理器具に食器類、ランドリーグッズなどなど。
大きな物から細々としたものまで。
えぇ、色々と店を歩きまくりましたとも。
「はあぁ〜。さすがにくたくただわ。」
家に着いた途端に疲れすぎて座布団の上にばたんきゅ〜。
もう起き上がりたくない…。
だけど…。
「あと一仕事…。」
引越しと言ったらご近所挨拶。
迷いに迷った末、吸水性抜群タオルがお買い得だったので、それに決定。
取り敢えず、顔を合わせる確率のある両隣とそのお隣さん。プラス下の階の三軒程を対象にした。
「取り敢えず、左から行きますか。」
ピンポーン…。
お留守らしい。
この場合はメッセージカードと一緒にポストへゴー。
そのお隣さんは…。
ピンポーン…。
「は〜い。」
いるいる。
子どもの声だったね。
家族連れかな。
「どちらさ…、…お前、何で…?」
ガチャっと開けられた部屋から出てきたのは、黄色い髪に蒼い瞳の男の子だった。
大きな目をさらに大きくして驚いている。
両頬に髭のように三本線が走っている特徴的な…。
「ナルト…?」
あれ…?
この子、知ってる。
「私、あなたのこと知ってる。うずまきナルト、よね?」
わあ〜!凄い偶然!
知ってる子に会えるなんて!
「確か、エニシ…だよな?」
「そうそう!エニシだよ!隣の隣に住むことになったの!よろしくね〜!」
私は嬉しさのあまり、彼の両手を握って大きく振った。
あ、そうだ。
「はい、これ。引越しのご挨拶。私分からないことだらけでさ。色々と教えてよ。」
「あぁうん、いいってばよ…。」
「じゃ、またね。まだご挨拶が残ってるからさ。」
「あ、あぁ、また…。」
手を振ったら、ちょっと呆然とした感じに手を振替してくれた。
でも良かった〜。知ってる人に会えて。
こんなんで嬉しいって思うなんて、案外と心細かったのかもしれないなぁ。