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もう一度、を叶えるために。first

第18章 記憶喪失に…なりました?





それから街を一通り案内してもらい、銀行の場所も把握できた。
道中、何でお金が支給されるのか聞いてみたら、私は一族から抜けて孤児扱いになったそうな。で、後見人が火影様になったんだって。
火影様はこの里で一番偉い人なんだそうで、何故そんなお偉いさんが私の後見人になってくれたんでしょうね。
よく分んないシステムだよね。

「ここがあなたのアパートよ。」

横に長いアパートで二階建てだった。
部屋数は全部で十四部屋。
日当たりは悪くなさそうな感じ。
私の位置は左から三番目だった。

ガチャリとドアノブを回して中に入ると、まあ見事にすっからかん。
…当然だね。昨日の今日で家具が全部揃ってるわけがないよね。

「あの、ここって家賃は…?」

「火影様が支払って下さるわ。」

「そうなんですね…。」

こういうの、至れり尽くせりって言うのかな。

「働けるようになれば自分で払うようになるんだろうけど、あなたはまた子供だからね。」

「それじゃ、何か困ったことがあったら頼れよ。」

「そうね…。依頼棟に来れば大抵はそこにいるから。」

二人は少し寂しそうに、でもそれを押したように笑った。
私はそれに気づかない振りをして笑顔を返す。

「はい、ありがとうございます。心強いです。」

頼れる人がいるのはほっとするもの。
私の様子に、二人はほっと小さく息をついて、アパートから出て行った。

二人を見送って、改めて中を見てみる。
押し入れを開けたら布団セットはあったから、今夜から大丈夫だね。
洗濯機に冷蔵庫、洗面所とお風呂場、トイレも完備。
水も通ってるから大丈夫だね。
ふと、部屋の中がオレンジ色に染まっているのを見て、ベランダの方に目を向ける。

「わあ…。」

空は綺麗な夕焼けになっていて、カラカラと窓を開けると冷たくなった風が吹き込んできた。

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