第17章 うちはの里を作っちゃおう2
そして、最終的な沙汰が降りた。
「叛意がないという証明は出来ないが、かと言って叛意があるという証明も出来ない。うちはの里を創ろうとしたことは違反ではあるが、それはエニシしか知らぬ事実であり、その責任の所在はエニシ一人に課せられるべきである。よって、エニシから特別上忍の階級を剥奪。暗部を除籍させ、忍の任務を担う事全て禁ずるものとする。」
「投獄もなく、一族の元に戻そうというのか。」
「それが良かろう。」
「甘すぎるぞ、ヒルゼン!」
「小娘と言えど、うちは一族なのだぞ!?」
「うちは一族だから。だから何だと言うのだ。根拠もなく凶悪とでも言うつもりか?この子の前で。」
ぐっと言葉を呑む音が聞こえる。
「エニシが日向一族だったとしても、同じことが言えるのか、コハル。」
「日向一族であればこんな事をしでかす前に止めたであろうよ。」
「こんな事をしなければ、一族が潰れてしまうと思わせた我らにも責はあるのだということに気づかないのか。」
「うちは一族が日向一族のように里を慮る心を持ち合わせていれば違った道があったのではないか?」
「その道しか選べないよう、我らが追い詰めてしまっているのではないかの。」
「ヒルゼン、この里にいるのはうちは一族だけではないのだぞ。歩み寄る気のない者たちをいつまでのさばらせておく気だ。」
…あぁ、なるほど。
今までこういうやり取りがずっと繰り広げられてきたんだ。
ヒルゼン様は少数。ダンゾウ達が多数。
その構図は、昔から全く変わらなかったのね。
きっと、もう変えられないんだ。
「もうよい。エニシの前でする話ではあるまい。」
ヒルゼン様の一言で、審議会は終了となった。