第17章 うちはの里を作っちゃおう2
「私と一緒にいた証明は出来ませんよね。うちはの集落のように四六時中監視でもしていない限りは。」
べったり私達に監視をつけていなければ、私が…いや、私達が九日間あの場所にいたことは証明出来ないのだ。
「知っていたのか…。」
ヒルゼン様は驚いて目を見開いた。
「集落の監視だって、里に知れ渡れば大事になるんじゃないですか?うちはの反感だけでなく、里全体にその余波が行き渡るかもしれません。それを私達にもやったと、逆に証明出来ますか。」
「それは…。」
ヒルゼン様は苦々しく顔を伏せた。
そんな事を証明すれば、ここで働く人全員の不信を煽ることになるかもしれない。
そりゃそうだろう。仕事中、或いは任務中に逐一行動を見張られていることを嬉しいと思う気狂いはいない。
互いに疑心暗鬼になるか、もしくはそれを主導している”根”への反感や猜疑心を生むきっかけになるか。
私にはどっちでもいいけど、私以外を審議会にかけようってんなら、全部暴露してでも不利を有利に持っていくわ。
でも、
「…報告義務違反であれば、私は班員に賄賂を渡しています。カカシさんには二万五千両、テンゾウさんには十万両です。テンゾウさんの説得には手こずった為にその金額になっています。あとの二人は同じ一族の誼で見逃してもらいました。」
ヒルゼン様が目を瞑ってくださるなら。
私一人が悪者になるだけなら、幾らでも泥を被ってやる。
「お前は…それで良いのか?」
いいのか、なんて問われたってどうにも出来ないじゃない。
他に道はないんだから…。
私は目を伏せた。
「四人の保護を。それが私の望みです。」
「分かった。お前の望み通りにしよう。」