第17章 うちはの里を作っちゃおう2
「あそこまで徹底的に潰す必要ってあったんでしょうか?」
そんなに…。
そんなにも…。
「…うちはは里から憎まれているんでしょうか?」
何がそう思わせると言うんだろう。
「そんなに憎まれるくらいの何かをうちははしたんですか?」
ヒルゼン様を見ると、彼は俯いてしまう。
「…難しいの。是とも否とも言えん。」
ふう、と大きく息をつくと、真っ直ぐに私の方を見た。
「うちはの歴史と一族の在り方が、…憎悪を助長させてきた結果、と言える。勿論、今日に至るまでには何度も話し合いの場も設けてきたが、一進一退でな。膠着状態のままだ。成果はと聞かれれば、耳の痛いところではある。」
それって、
「ご先祖様がそうだから生きている私達も悪だと、そう思われてるって事ですか?」
ただの偏見だよね。
ただの偏見で、私達はここまで憎まれてるって言うの?
「憎いなら遠ざければいいじゃないですか。」
憎いと言いながら、その口で出ていく事を否定する。
「要らないなら何で里から出してくれないんですか?」
日向のように、里の重責をうちはは担う事を許されていない。
憎まれてるのに、更に憎まれる警邏部を任されている。
これが悪意でなくて何なんだ。
「追い出せばいいじゃない。」
うちはじゃなくても警邏部は回るわ。
させることが無いって理由だけで押し付ける役割なんていらないじゃない!
「悪だと決めつけて袖にするなら!追い出してよ!喜んで出ていくわ!!その為に、折角あの土地を拓いたのに、どうして壊したのよ!!」
「それは…」
「うちはが牙を向くって言うんでしょ!?何かしたわけでもないのに、さもしたように!そんな心配するくらいお偉方は後ろめたいんでしょうね!そうされたくなければ、どうして除け者にしてきたのよ!!」
悔しい…!
結局、私は今日まで何にも出来なかった…。
膝をついた私の両手に涙がぽたぽたと零れ落ちていく。