第17章 うちはの里を作っちゃおう2
そんなこんなで午後になりました。
兄ちゃんと分かれての業務です。
リツさんの指示のもと、書類探しと整理を担っています。
黙々とやる中で、波風ミナトの名前がチラリと見えた。
キョロキョロっと周りを見回して人目がないのを確認してから詳しく見てみると、飛雷神の術のことが書かれていた。
時空間忍術の研究過程で生まれた技で、意外にも水牢の術に近い術式なんだとか。
閉じ込める際、水で空間を作り出すのと原理が似てるんだって。
で、予め術式により空間を作っておいて雷遁で連結させることであの術に繋がるらしい。
「へぇ…。」
興味深い。
頭のいい人だったんだな。
発想の転換が素晴らしいっていうのか。
「エニシ!!」
「はいぃっ!!」
やべっ、盗み読みがバレた!?
「すみませ…」
「あんた、火影様に呼ばれてるわよ!審議会に出るようにって!」
緊迫した顔で両肩を揺さぶられて一瞬思考が止まる。
「審議会…?」
何それ…。
リツさんの只事じゃない雰囲気に手元の書類がぎゅっと握られる。
「里に叛意がある者にかけられる審判みたいなものよ。あんた一体何があったの?」
何って…何を…
「まさ、か…。あんた本当に何かしたの!?」
「してない!!そんなつもりもない!!」
そんなつもりであそこを拓いたんじゃない!!
「…なら答えなさいよ。どうして”根”が出張ってきてるの?」
「根が…?何で…。」
分かるわけない。
見つかりっこない。
だってあそこは兄ちゃんとイタチが…
「あなたの持っているとある土地。そこに全ての証拠が揃って…待ちなさい!エニシ!!」
そんな筈ない!
見つかる筈ない!!
根がそんな報告…でっち上げに決まってる!!
私は全てを放り出して、一目散にうちはの里へと駆け出した。